「KISSジーン・シモンズのミー・インク」を読む-レビュー
今回はいつもと趣向を変えて、KISSのジーンシモンズ氏が2016年に出したKISSジーン・シモンズのミー・インクというビジネス本(?!)を読んでみましたので、そのレビュー(読書感想文?)を書いてみたいと思います。
Amazonで「KISSジーン・シモンズのミー・インク」を見る KISSジーン・シモンズのミー・インク【電子書籍】[ ジーン・シモンズ ]ちょっと前書き
皆さん、ジーンシモンズ氏をご存知でしょうか。
多分私のブログを読むような世代?趣向?の人であれば、絶対に知っているだろう、あのロックバンドKISSのベーシストです。
正直有名すぎて(というより、私より詳しい人が世の中大勢いるため)、もはや説明不要ですね。なのでもちろん説明しません!(笑)
私とKISSとの出会いは厳密にいうと小学生で、認知したのは中学生。きちんと聞くようになったのは高校生でした。
小学生の頃の出会いは某社のカメラのCMで、メイクをした子供たちがキャッチーなメロディで歌を歌っているといったものでした。とにかくキャッチーだったので、頭の片隅にずっとあったのですが、
中学生になったある日、部活の後輩が同じメロディーを口ずさんでいて、その曲が、
KISSの「I was made for lovin’ you」だということを教えてもらいます。(私たちの親世代で流行ったものということもここで知ります。)
ただ、漠然と「有名である」ことはわかっても、インターネットも自由に使えない時代でしたので、それ以上の情報を手に入れることはできませんでした。
高校生になった頃、学生身分である我々もついに携帯電話(スマートフォンではない笑)を手に入れます。ただ、携帯で音楽を聴くということは一般的ではなく、その小さい画面から、粗い解像度の画像情報と、文字で書かれたいくつかの情報が手に入るだけで、音楽に関する情報収集も環境に恵まれないと非常に厳しかったものと思います。
当時の状況で言うと、youtubeもサブスクサービスも今のように当たり前になる手前で、私の周りではもっぱら「音楽を聴く」行為は「CDを購入ないしレンタルして聴く」といったものでした。
私が育ったのは田舎ですから、CDを借りようにも、買おうにもそもそも店舗も少なく、選択肢が少なく、
また、小遣いも限られてますので、「好きな曲を好きなだけ聴く」ということはできないようなそんな時代でした。
ましてや(同環境の同世代では割とニッチな)アメリカンハードロックとなると、「出会い」がないと知ることができない状況だったのかな、と思います。
ただそんな中、私の育った町には、割と大きな図書館がありました。
またその図書館には、洋楽CDが置いてあり、東京のレコードショップには遠く及ばないものの、いくつかの有名なバンドのアルバムがありました。
私はそこでKISSや多くのハードロックバンド、はたまたレガシーなロックと出会い、ロックに対する知見を深めることができました。(そのほか、クラシックや古い邦楽にも知見を広げることができました。)
また、ちょうどこの頃ギターを始めていたため、音楽理論の学習、奏法の学習なども、図書館の書籍から得た情報も多くありあます。
今振り返っても、この時代に吸収したものは、割と音楽的趣向の肥やしになっているかな、と思います。(ただ、ギターのテクニックには、結果あまり反映できなかった模様…orz)
図書館って誰にでも平等に情報を提供するという点で、素晴らしい施設ですよね。今はインターネットで代替できることも多くなってしまいましたが、常に情報が開かれていることって、素晴らしいことですよね。(KISSを通して、自身の情報格差の時代を振り返ってしまいました。笑)
さて、いつもの自分語りは脱線なのか、伏線なのか…は是非本書を読んで判断してみてください 笑(前置き長いけど、「オレ向けコンテンツ」だからいいよね?!)
ではレビュー本題。
※本ページに書かれているレビュー内容は個人の主観によるものです。解釈の違いなどにより、本書に記載の内容と乖離のある表現がある可能性があるため、ご了承ください。
主題は「ビジネス、母、機転、啓蒙」
一見いい加減に見える見出しを付けましたが、本書の率直なトピックはひたすらこれらの点に尽きると思います。
まず「ビジネス」ですが、本書をKISSのファンブックとして読むと、驚くほどKISSについて書かれていないため、おそらく拍子抜けします。もちろんいい意味で。本書はあくまで「ビジネス書」なので、シモンズ氏がどんな価値観を持ってビジネスをしているのかが、びっしり書いてあります。(出版も日経BPですよ!音楽系の出版社じゃないです!)
じゃあどんなことが書かれているかというと、大きくは2部構成で、シモンズ氏の生い立ち、半生が書かれた前半部分と、その上でのビジネス的なアドバイスを書かれた後半部分に分かれます。
もちろん、ビジネス書なので、「ビジネスとはかくあるべき」といった記述があるのですが、シモンズ氏の半生を踏まえた前半部を読み、後半部分を読むと彼がいかにして「物事の必要性、合理性」を考え抜き、「人生をビジネス」として捉え、かつチャレンジし続けることを選び続けたのか。また、なぜ「金」「成功」にこだわるのか、が非常によくわかる本となっていました。
もちろん、私自身この感想文を書きながらも特に「金」「成功」について大っぴらに語ることは、少なくとも現代日本では少し憚られるところもありますし、語り方次第では、ともすると軽薄にも捉えられがちなテーマと思ったりします。しかし、実際に成功者として文字通り「成り上がった」ジーンシモンズ氏だからこその事実味のある内容で、その内容は非常に引き込まれるものでした。
なぜ「金」「成功」にこだわるのか。もちろん主観で書かれていることなので、ある程度体よく書いているところはあるかも知れません。ですが、俯瞰的な事実もそこにあり、必要性としての「金」「成功」について触れられているのも事実です。(みなさん、なぜお金が重要であるか、きちんと説明できますか?その哲学についても本書で述べられています。)
また、この本は「こうやって大金を、成功を掴むことができます」のような方法の教授ではなく、「俺はこの立場(読み方にもよりますが、決して有利なスタート地点ではないです。母と子一人。英語が喋れない状態でのスタートです。)から、どのように考え、どのようにチャンスを掴んで、どのように今の結果に結びついたか」といった「事実」と「マインド」に関することをありありと伝えています。(「マインド」を伝えるのは「成功の方法は人それぞれ追い求めるもの」だからです。なので答えではなく方法に寄っています。)
シモンズ氏が生まれた複雑な時代背景からすると、わたしたちはもっと恵まれたスタート地点にいるかも知れません。そういった意味で、ビジネスでの成功を志す読者はシモンズ氏の言葉から逃げ場を失います。
読み終えた後はきっと、自分の人生というビジネスをどう向き合うか。熱い思いで向き合うことになると思います。
余談ですが、前情報として、シモンズ氏があらゆることをビジネスに繋げるという評判や、さまざまな毒舌的なインタビューから、私自身も何処か斜に構えてこの本を手にしました。ただ、この本を読み終えて、その気持ちを本当に恥ずかしく思い、かつ胸が熱くなるような気持ちになりました。(今もその熱量で書いています。)
次に「母」についてです。
本書は随所でシモンズ氏の母親の生き方、関係について触れられます。
母一人、子一人で戦後のイスラエルからアメリカに渡り、文字通り0から全てを始め、生きていくために勤勉であり続けた母親に対して、尊敬の念がやまないことが読み取れます。
母親は決して他者からの施しを受けず、週6日の重労働かつ低賃金にもかかわらず、シモンズ氏に衣食住を与えることにを果たし、シモンズ氏の価値観にも影響を与えたことが書かれています。
また、「母に二度と働かなくて良いようにする」というのがモチベーションにもなり、シモンズ氏は成功を収め、
その後の成功で、母親を労働から解放できたことや、住居、車を買ってあげられたことについて触れられており、
シモンズ氏にとって、母の影響の大きさを随所に感じました。
シモンズ氏のバックボーンとも言える価値観に関わった事柄についても触れられている、また、そこを通してシモンズ氏の人間性が見えてくる(かも?)というのも本書の特徴と思います。(そう言った「人物にフォーカスした」という意味でファンブック的な要素はここに集約されるかも知れません。)
次に「機転」についてです。
具体的には機転という単語では書かれていないですが、本書ではとにかくどのようなマインド・アクションで物事に取り組むべきか、ありとあらゆる表現で書かれています。
時間(休暇)があればどう使うべきか、お金を使わないとどう言ったことがあるか(稼ぐ時より税金が得するとか)、学ぶ機会が公平で開かれている事実があること、自分の時間を自分がコントロールすべきであること、すぐに行動する必要があること、リスクを分散する必要があること、自己をブランディング必要があること、といったことなどについて、触れられています。
また、ビジネスを始めるにあたって、専門的な教育は義務教育上存在しないことについてシモンズ氏の経験をもとに多く触れられています。
これらはビジネスをする上ではもはや当たり前の事柄もあるかと思いますが、実例を交えつつ、どのように「自分の人生をビジネスとして捉えて」取り組むべきかが書かれています。
(サラリーマンで、生活することに必要なお金を稼ぎたいという人にとってはここに書かれたマインドはあまり重要にならないかも知れません。)
また特に私が興味深いと感じたことは、本書では繰り返し書かれていますが、「政治的に正しいか」と言った点は差し置いた表現というものを多く書かれています。
現代ではもちろん男女は平等であるべき、ということは当たり前ですが、慣習的に乗り越えなければいけないハードルは多くあると思います。(「男女平等であるべき」という正しさは差し置いて、実態としてIT分野が男社会の状態になっていることなど)
こう言った、ある種の事実についてどのように向き合うべきか、本書では触れていることもこの本ならではの面白い観点かと思います。
最後に「啓蒙」についてです。
本書はビジネス書なので、通常のファンブックなどとは異なります。笑
なので「啓蒙」「自己啓発」的表現は当然のように多くあるのですが、本書の特徴的な記載としてはチャプター毎に書かれる、著名人による格言です。
本書の内容に合わせて作為的に記載されたとも思われますが、成功者の格言には重みがありますね。
これだけでも十分自身を律する形のあるものですが、
本書における「啓蒙」は、格言にも寄った観点をシモンズ氏が読者に語りかけている点にもあります。(格言の解説をしているわけでは無いですが、格言があり、その観点でのシモンズ氏の見解・哲学・主張が書かれています。)
実際に成功を収めた、実体験を提示した前提での投げかけは読者の胸に刺さること間違いなしです。
繰り返しですが、ビジネスでの成功を志す読者はシモンズ氏の言葉から逃げ場を失います。笑
ぜひ、シモンズ氏が何を感じ、何を伝えたかを本を手に取ってみて感じていだければと思います。
最後に
私自身、具体的な起業はしていませんが、社会生活をするものとして、自分の生活をより良いものにしたいとはやはり思っており、自身のライフスタイルと照らし合わせても、反省しなければいけない点は多くあるなと、思いました。
そんな中で何気なく、出会った本書によって、少なくとも今後のモチベーションにつながったということは間違いないです。
また、本書はKISSが好きな方でしたら、ジーンシモンズ氏の哲学に触れることができますし、KISSと今まで関わりがなかった方も、世界一レベルで成功したミュージシャンの哲学に触れることができることで刺激があることは間違い無いかと思います。(特に「政治的に正しくない」と表現される主観的な表現、観点は、普段蓋をしがちだが、すごく重要な観点なので、その点をありありと語るとことが本書の魅力の一つでもあるかともいます。)
是非ご一読してみてください!(電子書籍はサンプルもあるので、ここでも魅力は伝わるかと思います!)
Amazonで「KISSジーン・シモンズのミー・インク」を見る KISSジーン・シモンズのミー・インク【電子書籍】[ ジーン・シモンズ ]P.S 私、読書感想文が苦手なので、わかりづらい表現ありましたらすみません。(リライトするかも?)